プロダクションノート

  • ティムの旅立ち

    主人公のティム(ジャスティス・スミス)は祖母に故郷の小さな町で育てられ、何年も父親に会っていない。しかし彼はきっとこう言うだろう「別に何も問題はなかった」と。ティムは誰も必要としていなかった、自分のポケモンさえも――。しかし、父親のハリーが独りで暮らしていたアパートに足を踏み入れると、ティムがずっと胸の奥にしまっていた感情が溢れ出てくる。そこにあったのは、額に入った幼いティムの写真、送られることのなかったバースデーカードや列車の切符、そして――、たくさんのポケモングッズで飾られた、ティムのための部屋だった。「ティムは寂しさと少しの後ろめたさを感じているんだと思う」と、ジャスティスは語る。「彼は自分が思っていたよりハリーが息子想いの父親だったことに気づき、ハリーにチャンスを与えなかった自分にも責任があるかもしれないと感じる。つらい立場だよね。子供の頃からずっと隠してきた感情がよみがえって、彼の弱さが露呈してしまう。さらに最悪なことには、ハリーに再会するチャンスがあったとしても、今さらもう手遅れだとティムは考えているんだ」ハリーの相棒だったという、自分にしか聞こえない人間の言葉を話す名探偵ピカチュウ(ライアン・レイノルズ)と出会ったティムは、あることを聞かされる。姿を消したハリーはまだ生きていると。自分のことをスゴ腕の名探偵だと言うピカチュウと一緒に、ティムは父親を探すことになるのだが、まだ、彼はそこで自分を待ち受けている運命に気付いていなかった。」

  • 運命のコンビ

    「このピカチュウは身体は小さくても、元気いっぱいでコントロールできないぐらい熱い気持ちを持っている。自分には頭脳だけでなく腕力もあると思っているが、実際は自分ができると思っていることの半分もできない」と、プロデューサーのケイル・ボイターは語る。「だからティムに頼ることになり、彼を厄介な状況に追い込んでしまう」しかし、それこそがティムにとって、自分を試し、自分自身を見つけるために必要なことだったのかもしれない。何も考えずに事件に飛び込み、動き回りながら考える性格の名探偵ピカチュウにけしかけられ、ティムはようやく過去にとらわれて一歩を踏み出すことが出来なかった自分を捨てて、未来へと進むことになった。ティムとピカチュウの関係性が映画のカギとなるため、製作陣はジャスティスとライアンが、親しくなれるよう、実際の撮影の数週間前に2人のシーンをプレスコ(台詞を先行して収録する手法)した。実際の撮影が始まってもライアンはしばらくの間、ジャスティスと一緒に現場に入って、イヤホンを通してジャスティスとの間合いを作り上げていった。「声の出演はたくさんしているが、この映画は特に楽しかった。いつもと違って、ジャスティスと直に共演することができたからね」とライアンは語る。「プレスコが終わっていたにも関わらず。その後も撮影現場に足を運んだのは、ジャスティスとの呼吸を合わせたかったからだ。彼らは多くのシーンで、面白いシーンを演じることができたから、その雰囲気をきちんと出したかったんだ」監督のロブ・レターマンは振り返る。「この映画の企画が立ち上がった頃、私たちは3DCGの名探偵ピカチュウの3DCG作りに取り組んでいた。色や動きにこだわり、少しでもオリジナルの2D画に近づけようと試行錯誤していたんだ。数ヵ月後、まだライアンの出演が決定する前に、テストでライアンの声のサンプルを当ててみると、完全にフィットしたんだ。何というか、とても自然であると同時に、まったく新しいピカチュウになったんだ。さらに彼とジャスティスが組むと、ウィットと魅力とユーモアのあるコンビになった」

  • もう一人の仲間

    ティムと名探偵ピカチュウはハリーの事件の手がかりを追ううちに、もう一人の仲間・ルーシー(キャスリン・ニュートン)と出会う。ルーシーはポケモンの不可解な事件について取材を進めるうちに、ハリーの家にたどり着く。探偵だったハリーも同じ疑問を抱き、真実に近づきすぎたのだろうと、ルーシーは考える。「彼女は事件記者なの。いえ、新米記者ね。というか、見習いよ。でも、そのうち記者になるわ」と、キャスリンは映画のセリフに引っかけてジョークを飛ばす。ルーシーは仕事でずっと下積みを続け、自分の才能にふさわしい評価を得るのに苦労している。しかし、彼女は決してあきらめない。「彼女はライムシティで何が起きているかを調べているの。絶対に何かがおかしいからよ」ルーシーは自分のことを理解してくれる相手には、喜んで情報を提供するタイプだ。事件が起こった時に、自分だけ“ここで待ってろ”と言われることが我慢ならない。それなのに、彼女がなぜ、キュートだけれど興奮しやすいコダックをパートナーに選んだのか、不思議に思うかもしれない。抱っこひもにつながれたコダックは、ルーシーが巻き込まれる恐ろしいトラブルを目にするとストレスで頭痛を起こし、念力を放ちそうになる。ルーシーたちは常にコダックの神経を静めるのに手を焼くことになるが、それが思わぬ形で彼らを助けることになる。 「ルーシーにはどこか共感を覚えるわ」とキャスリンは語る。「私も意志が強くて野心的だけど、彼女のほうがさらに上ね。それに彼女は面白くて、ちょっとダサいところもあって、世界を救おうとしている。ルーシーは自分を信じているの。“自分の直感を信じて勝負に出なきゃ”ってね」

  • 唯一無二の場所

    「名探偵ピカチュウ」のビジョンは、ハワード・クリフォードのビジョンと相通じている。それは、人間とポケモンが共生できる社会の構築だ。本作には、メインキャラクターから背景に映るだけの端役まで、多くのポケモンが登場している。CGの制作に、株式会社ポケモンの協力は欠かせないものだった。同社の代表取締役社長の石原恒和氏、ゲーム「ポケットモンスター」シリーズのイラストレーターで、株式会社ゲームフリーク取締役の杉森建氏、その他あまたのアーティストやデザイナーから貴重な助言を得ながら、制作は進んだ。ロブ監督とCGチームが2Dのキャラクターを3DCGにする方法を模索する中、株式会社ポケモンは惜しみなく参考資料を提供し、爪や毛に至るまであらゆる部位の細部に助言を与えた。ポケモンをリアルな3DCGで作るには、体のサイズは厳守しなければならない。各ポケモンのサイズは、それぞれに設定されている身長と体重に基づいて計算された。「ひとつもごまかせなかった」と言うのは、本作のアニメーション監督を務めるフェラン・ドメネクだ。「ポケモンをマンガっぽくすることだけはしたくなかった。だから自然界の生き物を参考にしたんだ。キャラクターを中からも外からも徹底して作り上げるために、アニメーターたちと共に研究を重ねる必要があった。ポケモンたちには、体重を感じさせる見た目、そして体重移動しているように見える動きが求められたんだ」そして何より重要だったのは、「ポケモンらしさや、人々がポケモンに対して感じるつながりを壊すことなく、さまざまな条件を満たすフォトリアルなポケモンを作り上げる必要があった」と視覚効果スーパーバイザーのエリック・ノードビーは言う。「つまるところ、登場するポケモンがどんなポケモンで、彼らの役割を明確に理解していることが不可欠だった。私たちは常にそこを目指して作業していた」 ポケモンは動物ではないが、デザインの観点からすると、さまざまな動物の特徴があり、多くの場合、複数の動物の特徴が組み合わさっている。そのためCGチームはポケモンの身体的な特徴を形にする上で、そのキャラクターのインスピレーションに最も近いと思われる生き物の自然な姿を参考にした。さらに、ライアンはその声を貸すだけでなく、演技でも名探偵ピカチュウに命を吹き込むことに貢献した。「ライアンの影響が大きい」とドメネクは語る。「彼の繰り出すユーモアやリズム、癖、表情、その他微妙な動きが、ピカチュウの態度や性格の決め手となった」 また、視覚効果チームは、撮影現場で物理的にポケモンの代わりになる人形も用意。人形が俳優たちの目線を合わせる役割も果たした。「たいてい名探偵ピカチュウは僕の肩に乗ってるんだ」ジャスティスは説明する。「ピカチュウの代わりに重みのある人形を肩に乗せて歩き回ったよ。アニメーターが、僕の頭の傾け方や、ピカチュウの尻尾が顔に当たった時の反応といった僕の動きに合わせてピカチュウの動きを調整したんだ」

  • ライムシティ

    架空の都市ライムシティのビジュアル制作においても、“リアル”が再び合言葉になり、そこに“スタイリッシュさ”が加えられた。プロダクションデザイナーのナイジェル・フェルプスいわく、ロブ監督の希望は、親近感がありながら未知の雰囲気もあり、誰もが馴染める国際色豊かな現代都市だったという。「ロンドンをベースに、最終的にニューヨークと東京とロンドンが融合したような街を目指した。意図的な矛盾も散りばめたよ。車は右ハンドルなのに、アメリカっぽいとかね」 デジタル処理を施したスカイラインや街の看板が、実際のロケーションをあいまいにし、映像の雰囲気は探偵ものらしく、典型的なノワールに仕上げた。クールでダーク、雨に濡れた地面に反射するネオンや、街角に潜む奇妙な物影など、驚きや危険を予感させる要素を加えていった。「ポケモンがとてもカラフルなので、ロンドンのニュートラルカラーは背景として完璧だ」とフェルプスは言う。「我々はまず、シーン別に登場するキャラクターのビジュアルを作業室の壁に貼って、セットのカラーを決める参考にした」

  • 制作陣の想い

    レジェンダリー・ピクチャーズのプロデューサーであるケイル・ボイターは次のように語る。「この作品のテーマは、私たちが勇気を出して誰かと繋がろうとする時に生まれる人生の魔法なんだ。どんな人間だって、一度はとことん打ちのめされ、立ち上がれない時がある。ティムがライムシティに来たのはまさにそんなタイミングで、彼は誰にも心を開こうとしない。だが希望に満ちた名探偵ピカチュウと友情を築いたことをきっかけに、父親を探す決心をする。実はこの作品は、父と子の関係を描きながら、“いつだってやり直しは効く”というメッセージを含んだ、感動作なんだ。ポケモンカードを集めながら育ったポケモンファンの目には、ポケモンと人間のユニークな関係と絆を描いた作品として映るだろう。つまり、本作は幅広いテーマを掲げつつ、ポケモンの本質をとらえた作品なんだ」その点では、株式会社ポケモンからの情報提供とサポートは何にも代えられない貴重な資源だった。「ロブやレジェンダリーのスタッフは世界中で愛され、信頼されているポケモンブランドを大切に扱ってくれた」本作のプロデューサーで株式会社ポケモンの片上秀長は言う。「自由にクリエイティブを追及しつつ、常にブランドに敬意を表し、人の心を惹きつける映画を作ってくれた。ロブ監督とライアンのおかげで、名探偵ピカチュウは瞬く間に世界中に知れ渡った。世界中の人々がこれまでのポケモン世界とは違うユニークな世界で活躍するこのアイコニックなピカチュウの冒険を楽しんでくれると思う」本作の製作総指揮を務めた株式会社ポケモン代表取締役社長、石原恒和はそれに同意しながら語る。「ポケモン世界の規範と知恵への賛辞と共に、広い観客層に訴えるストーリーを追及したのが本作です。ポケモンブランドと同じように、子供も大人も、長年のファンも、初めてポケモンの世界を体験する人も、誰もが共感できる映画になっています」 一方でロブ監督はこう語る。「私が本作で気に入っている点は、自分が愛する多くの名作同様、リアルな感情がぶつかり合うヒューマンストーリーになっているところだ。登場人物が観客を笑わせては泣かせ、観客にキャラクターたちの行く末を案じてもらい、共に恐怖を感じてもらうことを目指したよ。優秀なキャストやスタッフ、それ以外のあらゆる要素が揃い、さらにそれがうまく働いて初めて世界中の誰が見ても面白いと感じる、愛すべき映画が完成する。それはまさに魔法だよ。私にとってこの映画はまさにそんな映画だ。観客も同じように感じてくれたら本望だよ」

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